◆関西大学経済人クラブ 第194回例会だより

2012年2月20日(月)

関西大学経済人クラブ(会長 西村太一)第194回例会は平成24年2月20日(月)午後6時より、大阪・梅田 大阪新阪急ホテル2階「花の間」にて、生田 圭一氏(当クラブ副代表幹事 S43学経)の司会にて、来賓に当クラブ名誉顧問の一軸 浩幸様(前校友会会長)、森本 靖一郎様(前理事長)、校友会会長で顧問の寺内俊太郎様をお迎えして開催された。

代表幹事の田合邦臣氏(昭37学商)の開会の挨拶から始まり、今回は関西大学大学院会計研究科 教授 宮本勝浩様に
「上昇するか!2012年 関西経済!」
と題してご講演いただきました。


 主たる講演の要旨は
1.はじめに「青春時代とは」
2.2012年の世界経済の展望
3.平成24年の日本経済の展望
4.ネバダレポート
5.平成24年の関西経済の展望
6.ピンチをチャンスにかえるアイデア
7.ビジネス成功の秘訣
8.2011年の経済波及効果の例
9.結論、
以上9項目にわたり多面的に語っていただきました。
 主たる内容は
1.サミエル・ウルマンの詩「青春」「青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。若くあるためには、想像力、強い意思、情熱、勇気が必要であり、楽をしようとする心を叱る勇気が必要である。年を重ねるだけで人は老いるのではない。理想(夢)をなくした時に老いるのである。」の紹介があった。

2.一昨年のギリシャ財政危機から端を発したEU(欧州連合)の経済危機とそれによる世界経済の経済停滞により、先進諸国はかなり苦しいスタートをきることになる。
日本の実質経済成長率は2011年マイナス0.5%、2012年は2.3%の予測値(IMF2011年9月)

3.昨年3月11日に発生した東日本大震災とそれによる大津波で大打撃を受けた。東北地方や関東地方は生産設備に大きな打撃を受けるとともに、サプライチエンの切断、電力不足、就業機会の喪失、消費の冷え込みなどの原因で、大きな経済衰退に陥った。さらに、一時は75円30銭台(10月31日)に突入した円高で輸出企業は大打撃を受けた。日本経済は円高により非常に巨額の損失を被った。その結果、企業の海外移転が進展し(例;静岡銀行が海外進出のための企画を開催したところ、満席になった)国内雇用の縮小に繋がっている。日本経済は先進国、アジア諸国の中で唯一マイナス成長に陥った。平成24年度は、生産設備の復旧、復興需要の増加、政府の復旧公共投資の増加などで日本経済は2%以上の成長を維持すると期待されている。一方悲観的な見方として、EUの経済危機が世界的に拡大し日本までマイナスの影響を及ぼすのではないかという懸念があること、円の過大評価が続くのではないかということ、さらに日本が抱える累積財政赤字が世界一の膨大な額にのぼることである。

4.IMF(国際通貨基金)と日本の政府関係者で秘密裏に作成され、2001年9月に一部政府関係者に渡されたとされる極秘レポートが「ネバダレポート」と呼ばれるものである。これは2015年までに日本の財政を立て直さないと、さいごはIMFが日本の財政の管理に乗り出して(ギリシャと同様に)、つぎの政策を実施することになると言うショッキングな報告書である。
 (1)公務員の数と給与を30%カット、ボーナスと退職金は0
 (2)年金は国民全員30%カット
 (3)国債の利払いは5~10年間一時停止
 (4)消費税は20%
 (5)所得税の課税最低限は100万円に引き下げる
 (6)資産税(不動産、株や債券などの保有への課税)の導入
 (7)預金は30~40%カット

この様なIMFの管理下におかれるような事態に陥らないようにすることが政治の責任である。

5.関西経済の独特の心配材料として、電力不足が早期に解消されるかということと、関西経済を牽引してきた家電業界において、韓国や中国の進出により売上や利益にかなりの陰りがみえることである。(パナソニック、シャープ等)

6.ピンチをチャンスにかえるアイデアは関西人の得意とするところである。
 ①問題点を把握するチャンス
 ②古いビジネス、組織を変更するチャンス
 ③自分を認識するチャンス
 ④人材を育成するチャンス
 ⑤人と会うチャンス
 ⑥新しいことを考えるチャンス


7.
 (1)アメリカ人・・好きなことをする(年収1$でも好い)
 (2)日本人・・・運がよかった(いい人的ネットワーク)

8.
 *USJ10年間の経済波及効果・・約1兆2500億円
 *大阪マラソンの経済波及効果・・・約124億円
 *百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録の経済波及効果・・・360億6800万円

9.日本経済は、EU諸国やアメリカなどの諸外国が経済悪化して日本にマイナスの影響を与えない限り、また政治が失政しない限りは、2011年よりよくなるといえる。つまり、自国経済だけを考えれば、かならずよくなると考えている。特に、関西経済は、関西人の前向きの姿勢や独創的アイデアを発揮しつづければ、必ずよくなる。と心強く語っていただきました。

 講演会は稲田昌三副会長(昭34学文新)の謝辞よって終了し、懇親会は森本名誉顧問の激励のお言葉と乾杯の音頭ではじまり、司会者の生田さんから新入会員、特別参加、臨時参加のご紹介があり、また、長谷川 真理氏(女性若手部会幹事)から7月21日開催予定の「ピアノとフルートの演奏会」(神戸・酒心館)の概要が発表され、和気藹々の中で懇親が進められ、副会長の栗原 照次郎氏(昭35学商)のユニークな。閉会の挨拶をもって午後8時40分散会した。

     
           (関西大学経済人クラブ 代表幹事 田合 邦臣)