9月7日に行われた第227回例会は、昨今のコロナウイルス感染拡大防止に配慮し、オンライン会議アプリのZOOMを利用したWEB例会となりました。17時40分頃から参加者が続々と「ミーティングスペース」にアクセスし始め、最終的には30名ほどの人数が繋がりました。18時、楠副代表幹事の司会進行により開会。学歌斉唱の後、生田会長のご挨拶。運営委員会で話し合われた結果、今回のWEB例会開催となった趣旨のご説明をいただきました。
その後、コロナ禍での現況・仕事の取組みについて3名の会員からお話いただきました。
1人目の講演者の杉江様(平成2年商学部卒・三興物流株式会社代表取締役社長)の講演が開始。三興物流様のご紹介(300台の車両を有し、幅広い物流サービスを展開。)から始まり、物流業界の現状を発表されました。現在は事業の中でボリュームゾーンである卸からスーパーなど流通店舗へ商品を届ける「商業物流(中間物流)」や「消費者物流」が活況で、文字通り休む間のないほどであったとの事。(トイレットペーパー不足の際は徹夜で業務にあたられた時期もあったほど。)また、他にも事業として住宅関連、ホテルへのリネン関係の業務を展開されているが、住宅関連は巣ごもり需要等で堅調であったものの、ホテル関連はホテルの稼働率に連動する為、ほぼ壊滅的であった事などが伝えられました。仕事を行う際にはマスク着用の徹底、消毒の徹底などに従業員全員が気を使い、安全に業務を回しているなど、現場の実情についてもお話しいただきました。最後にコロナ禍により今後デジタル化、自動化についての構想や人材確保についてなど、周辺環境や情勢、状況が刻一刻と変化する中にあって、しっかりと対応していくという経営姿勢をお話しになり終了となりました。
続いて、門脇様(平成22年法学部卒。lifestyle consulting inc代表。)の講演。冒頭、自己紹介と起業のきっかけまでのお話をいただきました。門脇様は大学時代いわゆる「陰キャラ」であったが、オービックに入社されてから、昼はサラリーマン、夜はDJという2足のわらじを履く生活を送っていたそうです。将来「事業(会社)がしたい」という目標があり、その為には自分の強みとなる要素が必要であるという思いに至り、コミュニケーションツールとして自分がもともと好きであった「音楽」を武器にしようと思ったことがDJを始められたきっかけとの事でした。外資系高級ホテルのイベントでDJをする際「日常的に英語を使う」為、結果として留学をせずとも会話ができるまで英語の能力が上達されたという自身の経験から、「これをビジネスにできないか」という気づきを得て、現在の会社を立ち上げられたそうです。lifestyle consulting incの事業は英語力を高めることで自分(顧客)の人生をより良くしたいという理念のもと、「隙間時間を活用して英語を教えたい人」と「英語を学びたい人」をつなぐマッチングの活動に音楽イベントなど遊びの要素を盛り込む事で差別化を図っているとの事です。このコロナ禍においては「衛生面対策」「オンラインレッスンの開講」「今できる事をやる」の3つのことを念頭に事業に取り組んでいるとの事で、特に「今できる事をやる」という思いは、起業早々にコロナ禍となった経緯もあり、コロナと同じタイミングで生まれた会社として、社会の状況変化にしっかりと対応していく、という強い思いを感じる言葉でした。
最後は、永尾経済人クラブ副会長(昭和61年法学部卒。白ハト食品工業株式会社代表取締役社長。)の講演が開始。現在コロナで打撃を受けている「外食」「観光業」「イベント関連」の全てにご自身の事業が当てはまっており、特にスポーツイベントであるオリンピックに関して90会場が中止に追い込まれるなど、「日本を代表するコロナの影響を受けた企業である」との説明がありました。実際の数字としては、インバウンドや出張もかなり制限された影響で、新大阪の店舗は最も落ち込みが大きい時期で前年度3%であった事、現在はようやく30%まで戻してきた事も併せてご説明がありました。そんな中、永尾様は経営者として優先順位を決め、「やれる事をやる」「ピンチをチャンスに変える」事を意識されており、特に以下の事を心掛け実行したとの事です。
①社員について
・19人の新入社員は全員リモートでの業務を行わず、農業をしてもらった。
・将来から逆算すると必然的にコロナを理由にした解雇は行わない。
・役員以外の減給をしない。
②社長が暗い顔をしない
社員がワクワクできるように明るい未来を提示するように心がける。
③DX(デジタルトランスフォーメーション)にシフトしつつ良い「群れ」を作る
・アナログエクスチェンジと称して少人数の飲み会を開催するなどコミュニケーション を強化した。
・短時間でも「会いたい」と言ってもらえるよう人間的な魅力を作る 努力をする。
また、35年前のご自身の原点回帰の事や「ミナミ・道頓堀の活性化」の取組み、農業を通じて茨城や福島などで展開しているSDGsのモデル事業のご案内など、コロナ禍だから逆にできる事というポジティブな思考や発想を随所に散りばめられたご講演をいただきました。
最後に質疑応答をいただき、例会は終了となりました。今回はオンラインの「場所を選ばない」という特性により、普段は参加が叶わない遠方からの会員のご参加も見て取れ、ZOOMの良さが存分に生かされた例会になったと思います。また、今後、ペーパーレス化や議事録のデジタル化など、働き方、企業での就業スタイルなど、確実に世の中が変わってきている事を実感した会でもありました。
(平成10年社会学部卒業 経済人クラブ事務局 関大パンセ 寺本 和史)