◆関西大学経済人クラブ第234回例会

2022年5月9日(月)


「やらな、しゃーない! -1型糖尿病と不屈の左腕-」
元阪神タイガース投手、阪神球団コミュニティ・アンバサダー
岩田稔氏(平成18年経済学部卒)

 経済人クラブ第234回例会が5月9日に大阪新阪急ホテルにて来賓11名、ゲスト参加15名をはじめとする会場参加者85名、Zoom参加者6名により開催された。第1部の総会を学歌斉唱に始まり永尾会長の挨拶、来賓の方々の紹介・挨拶に続き議事を行った後、第2部の講演会に移った。

 今回の講演は校友であり(平成18年経済学部卒)、元プロ野球投手で野球評論家の岩田稔氏に「やらな、しゃーない!-1型糖尿病と不屈の左腕-」と題し講演をいただいた。岩田氏は、大阪桐蔭高校での在学中から1型糖尿病を抱えながらも関西大学野球部を経て2006年に阪神タイガースに入団、3年目には先発ローテーションに定着し10勝を挙げ、2009年にはWBC日本代表として世界一を経験するなど16年間に渡って活躍。2021年限りでの現役引退し、解説・評論活動と並行しながら現在阪神球団のコミュニティ・アンバサダーを務める。また現役時代から携わっている1型糖尿病の啓蒙活動や社会貢献活動を行うなど野球界の内外で活躍されている。
小学校1年生から野球を始めプロ野球選手になることを夢見て大阪桐蔭高校に進学する。当初はその高いレベルに驚愕するも必死に食らいつき練習を続けるが2年生の冬に1型糖尿病を発症し診断後即時の入院生活となる。一生注射を打ち続けなければならない生活や野球ができなくなることで絶望するが主治医より教えられた同じ1型糖尿病を抱えながらも日本プロ野球及びアメリカメジャーリーグベースボールでも活躍したビル・ガリクソンの存在や大阪桐蔭高校野球部監督西谷氏の毎日の見舞いを受け、現状を受け入れて前に進むことを決意する。
夏の大会に向け練習にも励んだが、以前より内定していた社会人チームから病気を理由に内定を取消されてしまう。これにより反骨精神が芽生え大学進学を希望し西谷監督の母校である関西大学に進学する。当時の関西大学野球部監督高岡氏の病気を理解した上での対応や愛ある厳しい指導、本人の反骨精神、他大学の有力選手との切磋琢磨、他者とは違った人一倍の努力(監督談)により見事成長を果たし阪神タイガースへ希望枠で入団する。
入団発表会見時に「1型糖尿病患者の星になりたい」と公言し、ガリクソンのお陰で野球を諦めずに済んだ自分のように同じ思いをしている人たちの力になりたいと敢えて公言することで様々な辛く苦しいことも乗り越え、優勝こそできなかったが誇りある16年間のプロ野球人生を全うする。
この様に話される岩田氏はまとめとして、「やらな、しゃーない!」という今置かれている状況を覆すプラス思考のこの言葉を大事に歩んできたこと、そしてその思いで過ごした大学の4年間があったからこそその後のプロ野球人生と今があると思っていること、そして現役引退した自分のこれからの役目は社会に出ても何でもできることを示し「いつまでも希望の星であり続ける」ことだと思っており、社会人として2回目のルーキーだが自身の今後の活動と姿勢を見ていてほしいと話された。
最後に講演上達のため場数を踏む機会を頂きたい旨で締めくくった岩田氏に対し谷副会長から謝辞を伝え講演会が終了した。5万人の大観衆の前でのプレーやマスコミ対応など数々の経験のある岩田氏が緊張しているのが不思議な感もあったが誠実さと実直な人柄が伝わる爽やかさの残る講演会であった。
 続いて岩田氏や来賓の方々を交え新人・ゲスト紹介を行うなど親しく懇親会が行われた。新型コロナウイルス感染症の感染が続く中ではあったが感染防止対策を行いながら久々に総会・例会・懇親会が盛大に行われ浅田副会長の挨拶で閉会となった。
 
                    副代表幹事 杉江秀樹(平成2年商学部卒)